ミネラル ファンデーションのラインナップ
ドイツ人は年間六億ユーロ以上をそのために費やし、しかもその額は毎年増え続けている。
ドイツ栄養調査研究所の報告によると、ドイツ女性の三分の一が定期的にビタミン剤を服用している。
ちなみに男性は四分の一である。
アメリカでは二人に一人が、毎日少なくとも一錠はビタミン剤を飲んでいる。
最大のヒット商品はマルチビタミン剤で、それにビタミンCとEが続く。
これらもずば抜けて人気が高い。
だがビタミン剤を服用するのは、たいていの場合、実際にビタミンが不足しているからではない。
もっと体調をよくするために、すなわち予防のために摂取しているのである。
ではいったい、私たちにはどれくらいのビタミンが不足しているのだろうか。
カラフルなビタミン剤を製造しているメーカーも、それについては知らないようだ。
メーカーによって含有量に差があり、各社それぞれ独自の調合法によっているので、添加されている量は調べようがない。
「ズンマヴィット」という製品には一日分として五〇ミリグラムのビタミンCが含まれている。
一方「マルチビオンタ・フォルテ」は二〇〇ミリグラムで、メーカーはこれを一日に必要な量だとしている。
この量はザワークラウト一キロに相当する。
妊産婦用の特別製剤には一六〇マイクログラムの葉酸が含まれているが、「マルチヴィトル」という製品になると、一日分で四〇〇マイクログラムもの葉酸を摂ることになる。
これはホウレンソウ五〇〇グラムに相当する。
同じメーカーでも、製剤によってビタミン値が違う。
「タクソフィット・マルチビタミン・カプセが二ミリグラム含まれているが、同じメーカーラル」にはチアミンの「タクソフィット・マルチビタミン・ミネラル・徴量元素発泡剤」にはそれが五ミリグラムも含まれている。
これは栄養学者が勧めるチアミンの量の五倍に相当する。
E誌はビタミン製剤について二度にわたって詳しく調べ、一九九八年の特別号と二〇〇一年の二月号でその結果を公表した。
どちらも唖然とさせられるものだった。
とくに調査担当者の目を引いたのは、多くの製剤に適量を上回る過剰配合が見られたことだった。
たとえば、ラツィオファルム社の「マルチビタミン9」には一日分にはビタミンFがドイツ栄養学会が勧める量の一〇〇倍も含まれていた。
「ノイグラNビタミン・ミネラル糖衣錠」を服用すると一日に二・四ミリグラム摂取できるが、DGEはこれを一・一ミリグラムで十分だとしている。
妊婦が多量のビタミンAを摂れば、子どもが奇形で生まれてくる可能性が高くなる。
攻撃的な刺激剤ビタミン剤にはビタミンだけが含まれているわけではない。
ほかの物質と組み合わせて調合されていることが多い。
こんなことはおそらくだれも知らないだろう。
ブレーメン大学社会福祉政策研究センターのゲルト・グレスケ教授は、ビタミン製剤の多くは、「過剰に調合されているだけではなく、ビタミン以外の問題の多い物質も含まれている」と批判している。
たとえば合成甘味料やポリエチレングリコールがそうだ。
後者は皮膚や粘膜に柔軟性を持たせる効果があるが、同時に有害物質でもある。
多くの製剤にはそのほかにナトリウムラウリル硫酸塩やステアリン酸塩も含まれている。
これらの物質が粘膜を傷め、アレルギーを引き起こすこともある。
ビタミン剤には、微結品セルロースも添加剤としてよく用いられる。
これは充填剤および粉砕助剤として機能する物質で、製剤中の物質を「粉砕」し効果を高めるのに用いられる。
徴結品セルロースの分子は微小なので、大腸から血液中にスルリと入り込むことが実験で明らかになっている。
そのほかのよく使用される物質に、滑石がある。
タルクは、体操選手が鉄棒で手を滑らせないために用いるタルカムパウダーとして知られている。
薬品産業ではタルクを「潤滑剤および溶剤」として使用していると、アーレンスブルク食品・環境研究所のゲルハルト・ヴィヒマン氏は言う。
食品用着色料の「賦形剤」としても使われている。
実験では、タルクは腸煙で妨げられることなく通過することが明らかになっている。
ところが、タルクを与えられたラットは、腎臓や肝臓だけでなく脳や肺にまでその沈着が見られた。
「その筒所には腫傷も発生しています」とヴィヒマン氏は一二一口う。
もっとも、それがタルクが原因でできたかどうかの「確証はない」らしい。
工場で製造されたビタミン剤によって脳にタルクの沈着が観察されたように、思いがけない箇所に痕跡が残ることがある。
ビタミン添加のジュースなどのように、食品に大量添加するとビタミンそのものが変質することさえある。
さまざまなドリンク剤である。
茶色のびんに入った「ハイC」「ベッカーズ・ベスター」の大びん、特大サイズのドリンク剤などが、ところ狭しと並んでいる。
どのメーカーも、いまやマルチビタミン・ドリンクを大々的に宣伝している。
安売りマルチビタミン・ドリンクが置いてある。
メーカーのビタミン・ドリン店の「ティップ」にさえも、ビタミンの量は、どの製品をとっても、リリットルのドリンク剤で一日所要量の五〇パーセントを摂取できるよう計算されている。
これで必要量はほとんどまかなえるので、薬を飲む必要がなくなるという。
ほかに必要なものは何かないだろうかと考えていると、茶色のびんが目にとまったので、Uさんはそれを六箱、買い物館に放り込んだ。
一九五〇年代から、E杜は「ハイC」を市場に出している。
ビタミン補給としてドリンク剤がかなりの業績を上げていることは、一般に知られている。
ただし、このビタミンは果物から抽出されたものではなく、製薬会社の工場で製造されたものである。
一〇種類の天然果汁濃縮液が調合されていても、その製品には十分なビタミンが含まれていると宣伝することはできない。
ラベルに表示するためには、一〇〇ミリリットル中に一日所要量の一五パーセント以上のビタミンが含まれていなければならない。
ところが果物の濃縮液ではそれを満たすにはほど遠い。
天然の果物からそれだけのビタミンを得るとなると、いったいどれだけの生ゴミが出ることだろう。
一九七八年、初めてビタミン添加のドリンク剤「ドクター・コッホのマルチビタミン・ドリンク」が「ハイC」と同じE社から発売された。
ウンブーなどの外国産フルーツから抽出したエキスのほかそれならばビタミンを添加しなくてはなるまい。
それにはバナナ、に、一〇種類の合成ビタミンが配合されていた。
コッホのマルチビタミンは大ヒットした。
そしてその四年後には、約六〇種類の類似品が市場に登場している。
リュートゲンローダー杜のエース・ドリンク「ベッカーズ・ベスター」は、ここ数年で正真正銘の人気商品になった。
「ビタミン・エースを食卓に」「食品法により合成保存料・合成着色料無添加」というキャッチコピーで宣伝している。
ところがラベルを読んでみると、ビタミンは工場で合成されたもので天然のものではないと明記してある。
二〇〇ミリリットル入り一びんの中に、一日所要量の六〇パーセントのビタミンEとC、さらに七〇パーセントの葉酸を封じ込めることなど、濃縮の天然果汁だけではどだい無理な話なのだ。
それに天然果汁なら、当然ながら合成着色料は必要ないはずである。
